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ヤフーニュースに毎日新聞の興味深い記事を見つけた。削除される前にコピーさせていただいたので、ぜひお読みいただきたい。

アラファトが死亡する前、このような記事が日本のメディアに出ることなど想像もできなかったのではあるまいか。そもそも、パレスチナ人によるテロ自体がイスラエルに対する闘争行為として肯定的に捕らえられ、彼らの狙うターゲットがイスラエルの子どもや民間人であっても、「テロ」と呼ばれることすらなかった。

さて、この女性テロリスト、ワファ・アルビスは、自分の命を救ってくれたイスラエルの病院を爆破するつもりだったそうだが、この記事の著者は、イスラエルがその事実を宣伝行為に利用したという。こういった捕らえ方はおかしくはないか。

自分が命を救った患者が、逆に自分を殺そうとしたとしたら、それはとても衝撃的な事実であるはずだ。それが大々的に報道されたとしてもなんら不思議ではない。このあたりをゆがめて「宣伝行為」と捕らえるのは著者の反イスラエル的感情の名残であろうか。

そもそも、イスラエルは度重なるパレスチナのテロを受けても、昨年までは、テロ後の焼け焦げた死体や、千切れた腕や足、ぶら下がった内臓のような恐ろしい写真や映像を公開することはなかったと思う。それを国際社会に向けて公開するようになったのは、イスラエルがもうパレスチナのテロを見過ごすことはできないという意思表示を明確に示す必要を感じたからに違いない。ワファ・アルビスの事件についても同様である。国際社会にこの衝撃の事実を知ってもらわねばならないのである。

ロンドンでの同時多発テロの後、日本のテロ対策も国際水準に近づいているという記事を読んだ。テロが広がりを見せている今、いつまでもパレスチナよいしょを続けているのはまずいと日本のメディアも判断したのだろうか。アラファトが生きているうちは、パレスチナについてのマイナスの情報は決して報道されることはなかった。アラファトがフォーブズ誌の長者番付に登場していたときも、日本版では、その記事は削除されていた。難民を率いている悲劇のヒーローが、実は支援金を着服して億万長者になっているという恐るべき事実。それこそ、日本国民が皆知らされねばならない事実ではなかったか。その金こそが、あなたや私の血税が元になっているのだから。

ここで、「シオンとの架け橋」イスラエルニュースからの抜粋を読んでいただきたい。

>>*パレスチナ人の暮らしがアラファト議長の死後に急上昇したと政府担当者が国会で報告。イスラエルとの交易、携帯電話の台数、雇用など全てが急増しており、自治政府の税収も伸びているという。(H)

これは、7月1日号に出ていたものだが、これを見ると、いかにアラファトがパレスチナ人にとって有害であったかがわかるというものである。

アラファトは、国際社会に向けてはテロを非難していたが、パレスチナ人に向けてはアラビア語でテロリストを賞賛してきた。パレスチナ自治政府の公共放送では、常に反イスラエル感情を人々に植え付け、テロリストを賞賛するような番組を放送し続けてきた。アラファト死後はこの傾向が変わったのかと思っていたのだが、実はそうではないらしい。

Palestinian Media Watchによると、パレスチナのメディアで報道される内容はすべて自治政府の管轄であり、アッバスにその気があれば、反イスラエル感情を植えつけるような番組やテロリストを賞賛するような番組は完全にやめることが可能なのだそうだ。それをしないところを見ると、アッバスもアラファト同様に2枚舌だということだろうか。

2002年1月に自爆した初めての女性テロリスト、ワファ・イドリス。自治政府はこれまでも彼女を誇りある殉教者として、何度も何度も、その「功績」を称えてきた。彼女の名前をつけたサマーキャンプや大学のコースが開かれたり、彼女を称えるコンサートを開催したりといった具合である。そして、最近卒業式が行われた、ファタハ女性幹部候補生向けのコース。それには、「殉教者、ワファ・イドリス課程」という名前がつけられていたそうだ。(Palestinian Media Watch7月10日号ニューズレターより)

このように、自爆テロを賞賛するパレスチナの風潮の中で、生きていく希望のないものが、どうせ死ぬなら英雄となって死ぬほうがよいと考えたとしてもなんら不思議ではない。ここで、次の内容を見て欲しい。女性自爆テロリストたちが自分自身のきわめて個人的な問題から自爆に向かっていることがよくわかる。彼らがもしも自由社会に生きる女性であったなら、自爆ではなく別な道を歩んでいたはずだ。(2005年7月27日)

ワファ・イドリス
2002年1月自爆
・・・彼女は一度結婚しましたが、子どもに恵まれず、不妊が原因で離婚させられました。イスラムでは子どもができないのはすべて女性のせいになり、離婚の口実になるのです。一度離婚させられると次はなかなかお嫁にいけないので、彼女はボランティアとしてインティファーダー場へ向かう事にしたのです。・・・ 女性自爆テロ必読 (はな組サイトより)

リーム・アルレヤシ
2004年1月自爆
彼女は、結婚し2児の母であったが、不倫をしていたために、名誉殺人として殺害されるか、自爆して英雄になるか、この二つしか選択肢がなかった。

(以下、シオンとの架け橋イスラエルニュース2004年01月23日発行分、1月21日のニュースより)
*女や子供を自爆させているようでは「人権団体に見限られる」との論評をパレスチナ紙が掲載。2児の母が「浮気の償い」で夫らに自爆させられた事は、ガザ市の関係者も認めている。(P)

ワファ・アルビス
2005年6月自爆未遂
毎日新聞の記事どおり。全身おおやけどを負って生きる希望を失ったことが原因。


最悪な詐取
http://mideastreality.com/japanese/pmwjapa.html
http://memri.jp/
フォーブス紙 世界長者ランキングにアラファト登場


<自爆テロ>失敗した女性、哀しい結末 パレスチナ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050719-00000047-mai-soci

 死ねなかった自爆テロリスト。ヒロインに祭り上げられた。その姿は、あまりに哀(かな)しい。
 パレスチナの女性、ワファ・アルビス容疑者(21)は先月20日昼前、イスラエル領との境界にあるエレズ検問所に現れた。通行許可証は持っていた。やけどの治療のため、イスラエルの病院へ通っていたからだ。だが、幾重もの鉄さくを隔ててビデオカメラで監視していた治安要員は、彼女の前後で鉄さくを閉じる。スピーカーを通じて、服を脱ぐように命じた。
 その時のビデオが、イスラエル軍から公開された。無声のビデオは、スカーフやコート、さらに上着まで脱いだ女性が、白いTシャツ姿で抗議する様子を映し出す。両腕やのど元は、やけどで赤黒く変色。シャツをめくり、同様に変色した腹部をさらけ出した時、女性の顔から表情が消えた。右手が、すっとズボンのポケットに入った。
 歯を食いしばって何かもぞもぞといじった後、黒いコード状の物を勢いよく引き抜く。二重のズボンの下に隠された10キロもの爆薬の起爆装置。不発だった。もう一度操作するが結果は同じ。爆弾を隠し持っていることを見破られたアルビス容疑者は、その場での自爆に失敗し、手で顔を覆って泣き叫んだ。「死なせて」と、絶望的な叫びが聞こえるようだった。
   ■   ■
 イスラエルは、アルビス容疑者の逮捕を宣伝戦で最大限に利用する。自爆テロの標的は彼女の命を救った病院だったと発表し、逮捕から数時間後に異例の直接インタビューまで設定した。
 「できるだけ多くのユダヤ人を殺したかった。子どもが死んでも構わない。パレスチナの子どもだって死んでいる」「殉教者として死にたかった」。最初に面会した地元メディアに、アルビス容疑者は気丈に答えた。
 だが、その後、外国人記者協会の代表取材には全く違う顔を見せる。「私は誰も殺していません。イスラエルは私を許してくれると思いますか?」。声はか細く震え、涙を流し、許しを求めた。
 私はあまりに異なる二つの顔に当惑し、彼女が生まれ育ったイスラエル占領下のガザ地区北部ジャバリヤ難民キャンプを訪ねた。
 小さな商店を営むアルビス容疑者の父親は事件後、取材を拒否し、沈黙を守っていた。「大事な娘を死地に送り込まれ、怒りを感じない父親はいない。でも、パレスチナでは、今やアルビスは『抵抗のヒロイン』に祭り上げられている。父親は怒りを吐き出すことさえできない」。匿名を条件に親族の一人は語った。
 敬けんなイスラム教徒の彼女は、パレスチナ解放機構(PLO)主流派ファタハの青年組織に属していた。イスラエル軍の侵攻にさらされてきたこの地区は、反イスラエル感情がことのほか強い。自爆志願の背景に、過酷な占領下で培われた怒りや憎しみがあったことは容易に想像できる。
 だが、親族は「転機は6カ月前の悲惨な事故にある」と指摘する。明るく社交的だった彼女は、昨年12月に自宅で起きたガス爆発事故で全身に大やけどを負って以来、別人のようになってしまったという。一命は取り留めたものの、無残な傷跡を隠すように人と会うことを避け、寂しく物思いにふける日が続いた。
 「痛ましい現実からの逃避を願う彼女にとって、英雄的で愛国的な仮面こそが、願いをかなえる最良の道に思えたのでしょう」。親族は言う。
 自爆攻撃を計画したのはファタハ系武装集団の中でも、最も戦闘的なグループだった。取材を申し込むと、アルビス容疑者の家から数十メートルの隠れ家に呼び出された。屈強な男たちが8人、自動小銃や手りゅう弾を手に待ち構えていた。
 「誰も彼女に自爆を強いていない。彼女自身が望み、我々はそれを支援した」。アブ・ナシームと名乗る現場司令官は言った。「警戒網を突破しやすい」から、女性を送り込んだという。ただ、テロの標的については「病院近くのイスラエル軍基地だった」と反論。「イスラム教は子どもや病人を傷付けることを禁じている。我々の解放闘争をおとしめるための宣伝だ」と語気を強めた。
 不幸な全身やけどで人生の歯車を狂わせた女は、パレスチナ解放のためには手段を選ばない過激派組織にその傷跡を利用され、その揚げ句にイスラエルの宣伝作戦にも使われたことになる。「抵抗のヒロイン」の実像は、あまりに哀れで悲しかった。【エルサレム樋口直樹】
(毎日新聞) - 7月19日12時35分更新


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