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2004年6月21日、ニューヨーク国連本部で反ユダヤ主義についての会議が開かれた。この総会の席で、アナン事務総長は、加盟国に対し、ユダヤ憎悪復活に対処し、反ユダヤ主義を非難する決議を採択するよう促した。

会議で発表したホロコースト生き残りでノーベル賞受賞者エリ・ウィーゼル氏は、反ユダヤ主義を大昔からはびこるウィルスであると表現し、ユダヤ人を憎むものはすべての少数民族を憎み、また、自分自身をも憎むものであると語っている。

現在イスラム社会では、反ユダヤ主義がユダヤ人やイスラエルに対する暴力扇動に利用されているともウィーゼル氏は語っている。事実、サウジのアブダラ皇太子などは、テロが起こりやすい自国の土壌を棚に上げて、国内でのテロをシオニストのせいにしている。

世界はいつもこのように何もかもをユダヤ人のせいにし、彼らを憎悪しその虐殺を許してきた。その結果が、現在世界中で激化しているテロである。国連で反ユダヤ主義についての会議が開催されたということは、世界が、今ここに来てようやく本気で反ユダヤ主義対処に取り組む必要性を感じ始めたということだろうか。

知人の東ヨーロッパ出身の女性がかつて言った。「ユダヤ人は邪悪である」と。彼女の生まれ育った国にユダヤ人が住んでいたとは思えない。たった一人のユダヤ人を知ることもない彼女がなぜユダヤ人を邪悪であると言えるだろう。

ユダヤ人がほとんどいない日本の掲示板でも、イスラエルやユダヤを扱うところでは、必ずといっていいほど「ユダ公に死を」と言った書き込みがなされる。彼らもまた、人生の中で一人のユダヤ人に知り合う機会さえない。彼らの偏見は日本で大量に出版されているユダヤ人陰謀説に基づいているだけなのだ。

以前に紹介したワリッド・シューバット氏は、パレスチナの憎しみをあおる教育が対イスラエルのテロにつながっていると指摘している。世界は、変わらなければならない。今の世代の意識を変えることは難しいかもしれないが、正しい教育を通して、次世代の子どもたちやその子どもたちを偏見のない人間に育て上げることは可能なはずだ。

今回の画期的な国連の総会をきっかけにし、世界が本気で反ユダヤ主義に対処していくことを切に願うばかりである。(2004年6月25日)


http://webcast.un.org/ramgen/specialevents/se040621a.rm?start=%2200:00:05%22
日本人のユダヤ偏見
日本人の反イスラエル感情
テロリストから調停役に ワリッド・シューバット

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