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アルカイーダと関わりを持つ、チェチェン武装勢力最高幹部のアブデル・アジズ・アリハムジ司令官が、ロシア軍との戦いで戦死したという。この事件について、イスラエルのニュースサイト「デブカファイル」は、「アリハムジの司令部に潜り込んだロシア諜報部員の仕業である」と報じている。

これは、ハマスの指導者ランティシがイスラエル軍によって暗殺された事件となんら変わるところはない。では、国際社会の反応は? アリハムジ殺害に関してロシアを非難する国があっただろうか。

ヤフーニュースにある次の読売新聞の記事を読む限り、ロシアを非難するというよりは、「あっぱれロシア軍」とエールを送っているようにさえ思われる。

一方、イスラエルによるランティシ殺害事件についてはどうか。ヤフーニュースにあるロイターの記事では、人々の同情を誘うように、ランティシの墓のそばに座り込むパレスチナの子どもの写真入で、「和平に逆行する。誠に遺憾だ。やりすぎではないか。憎しみの連鎖の拡大を危ぐしている」との小泉首相の言葉が報じられている。

アリハムジもランティシもともに一般市民の命を狙う大物テロリストだった。違いは、前者の敵がロシアで、後者の敵がイスラエルであるという点だ。それゆえに、国際社会はランティシ殺害についてのみ非難するのである。

2004年4月23日に配信されたシオンとの架け橋イスラエルニュースよると、「ハマスは世界各地にテロを拡大する方針を示唆している」そうだ。一方、米国務省テロ担当ブラック氏は、イスラエルによる相次ぐハマス指導者暗殺で、組織が崩壊していると思うと語っている。ハマスが世界各地にテロを拡大させる方針であるなら、それを未然に防ぐことになるわけであるから、われわれはイスラエルに感謝せねばならないだろう。

そもそも、国際社会から非難されながらも、なぜイスラエルはテロ組織のリーダーを殺害せねばならないのか。それは、法治国家を作るために、テロ組織を解体し、犯罪を取り締まるべきパレスチナ指導部が、その努力を怠っているからだ。パレスチナが、犯罪行為に対して法の裁きを受けさせる方針を徹底させているならば、イスラエルがテロリストを殺害する必要はない。

平和で幸せな国家が欲しいなら、パレスチナは本腰を入れて犯罪の取締りをするべきだ。テロリストが自由に横行する社会にまともな国家を作れるはずがない。(2004年4月23日)

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