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「もしも日本がイスラエルだったら」

著: 平 和哉(ペンネーム)



 日本の総人口はイスラエルの約19.4倍に相当します。
 この一年九ヶ月、イスラエルと同様のテロが日本で起きたと想定してみると、一連のテロによる死亡者数は11194名、テロによる負傷者は約8万名(マゲンダヴッド発表分。IDF内で処置を受けた兵士の負傷者は含まず)という数値がはじき出されます。

 都内の会社に勤務するあなたがいつものように帰宅し、夕飯を食べながらテレビを見ていると、こんなニュースが流れてきます。
「昨日、金曜の夜を楽しむ都会のディスコで、自爆テロにより407名が死亡、2328名が負傷しました。死傷したほとんどが10代の若者です」。
「本日の昼下がり、目抜き通りのピザレストランで、自爆テロにより291名が死亡、2522名が負傷しました。夏休みで店内は家族連れも多く、死亡した半数近くが十代の若者です」
「昨日の夜の繁華街で、213名が死亡、3492名が負傷。テロリスト集団が犯行声明を出しました」
「今年も厳粛な祭日のシーズンがやってまいりました。さて昨夜、ホテルの宴会場を借り切って祝宴をしていたところ、テロリストが侵入し自爆。563名が死亡、2716名が負傷しました。この時、祝宴の参加者は4850人いたとレポートされています」

 日本にテロを仕掛けてくるX国のテロリスト集団に対し、日本政府はどんな手段を使うでしょうか。
「国連に訴えましょう!」
「アメリカの助言を仰ぎましょう!」
「とにかく話し合いを!」
 アメリカの仲介により、何度も話し合いが持たれました。しかし、「停戦合意」と言った翌日には、自爆テロや武器による攻撃が起きます。テロで亡くなった方の葬儀の最中にも、また違う街でテロが発生します。
 日本政府は九万人に近い一般市民がテロの実害を受けても、何もせずにいられるでしょうか。大型テロで一度に3000人以上が死傷しても、黙っているでしょうか。
 テロによって、日本人10人に1人が失業、日本への観光客は激減し、国内需要も低下、世界中では日本製品非買運動も盛んになり、貿易にも支障がでています。バスも電車もテロの標的となりますから、安心して利用することができません。世界各地に在住する日本人も嫌がらせを受け、時には襲撃事件も起きます。

 一年半もの間、一向に止まないテロに頭を悩め、とうとう日本政府は「防衛のための侵攻権」を自衛隊に認め、X国に侵攻しました。テロリストのアジトを一掃するのが目的です。
 ところが、国連や諸外国は「早く撤退しなさい」と声を荒立てました。
「これは自衛目的で、テロリストを捕まえ、テロを事前に防ぐための侵攻であり、X国に対する攻撃のために侵攻ではありません」と、日本政府は弁明します。
 でも、その声を聞く国はどこもありません。

「二度の原爆を受けた日本が、なぜX国の痛みが分からないのか?」とむちゃくちゃなコジツケで、世界の国の新聞が日本の非難を新聞に書き立てます。X国のテロリストが犯した殺戮と、それを取り締まらないX国政府のことなど、誰も非難しません。
 X国の指導者は、「日本は、我がX国の純真な子供達や無力な女性を攻撃している」とくり返し、自分の国のテロリスト集団の取り締まりには動きません。
「X国○○市における大虐殺」というX国の過大リポートを鵜呑みにした国連や世界の国々は、さらに日本に対する憎悪の目を向けます。
 自衛隊は、このX国侵攻により、大量のテロの証拠資料や、非合法武器を押収しましたが、世界はそんなモノには目を向けません。「日本のデッチあげじゃないの?」そんな声も聞こえてきます。

 日夜身を粉にし、X国との接点を探っていた草の根のボランティア団体も、「偽善」「所詮、ポーズでしょ」という冷酷な言葉で片づけられ、かと思えば、マイクを向けられたX国の国民は「日本は何もしてくれない」と悪態を突く。

 真実とは、なんでしょうか。公平とは、なんでしょうか。


 さあ、そこのあなた。気をとりなおして! 明日も会社ですよ。いつものように、自宅から駅まではバスで、そこから電車を二回乗りかえて、元気に出勤しましょう。

 どうかしましたか? バスに乗るのは怖い? 駅でテロに遭ったらどうしよう?
 だからって自家用車での出勤が安全とはいえませんよ。どこから狙われるか分かりません。

「あのぅ...、家内が大型スーパーに買い物に行くのも、うちのひとり娘が日曜に友達と渋谷に行くのも、やめておいた方がいいでしょうか...。」

 なぁに。そんなに心配しなくても大丈夫ですよ! 昨日の日本政府との会談では、X国政府の首相が「テロリストを取り締まる」って言っていましたから...。(これが何十回目の声明だか...)

 願わくば...無事に会社に着けますように!


[参考]パレスチナ自爆テロによる死傷者数データ(イスラエル政府発表)
2001/6/1テルアビブ・ドルフィナリウム(ディスコ)−21名死亡、120名負傷
2001/8/9エルサレム・スバロピザレストラン−15名死亡、130名負傷
2001/12/1エルサレム・ベンユダ通り−11名死亡、180名負傷
2002/3/27ナタニヤ・パークホテル−29名死亡、140名負傷