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連日メディアをにぎわす米軍によるイラク人虐待事件であるが、この事件の背後には何者かによる働きかけがあるのではないかと私は思っている。人道的見地からというよりは、イラクを解放させられては困る人々が、反戦運動の盛り上げのためにこの事件を政治利用しているのではないか。

虐待は上部からの命令のようだが、わざわざ虐待場面でポーズをしている写真を残すということは米軍にとっては致命的だ。恐怖政治で国民を虐待してきたフセインを打倒し、イラクを解放に導こうとしたアメリカが、同じようにイラク人を虐待した。程度や規模の差こそあれ、その事実は、それまでイラク戦争を仕方がないものと考えてきた人々をも反戦に導く可能性がある。ひいては、11月のアメリカ大統領選挙でブッシュ敗退の可能性も出てくる。もしかしたら、それが黒幕の目的ではないのだろうか。

虐待の事実は昨年からわかっていたようだが、これほど次から次へと虐待の一部始終が明るみに出始めたのはなぜ「今」なのだろう。

FBIには、外国語で入ってくるテロ情報を英語に翻訳する人々が働いている。アラビア語の翻訳者たちの間では、同時多発テロの後で、アラブ人が結婚などの祝い事の際に食べるクッキーとともに、お祝いのパーティが開かれたそうだ。そのことから、対テロ戦を戦っているアメリカ中枢の内部にほころびがあることがわかる。もしかしたら、今回の米軍によるイラク人虐待事件は、情報を少しでも速く手に入れたいブッシュ政権の欲求を逆手にとって仕組まれたのではないだろうか。

メディアは虐待を行ったアメリカを批判することに躍起だが、もっと批判されねばならないのは、イラクの復興を妨げるためなら手段を選ばない武装勢力のはずだ。今のイラクにとっては、米軍の虐待事件の調査よりも、イラクという国が国としてうまく機能するようになるかどうかということが一番の重要課題ではないか。(2004年5月17日)

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